【小津めぐり】「東京物語の旅」in 尾道

尾道市

【小津めぐり】「東京物語の旅」in 尾道のイメージ

日本映画史にその名を残す映画「東京物語」は、小津監督の不朽の名作です。「東京物語」のなかで尾道は古き良き伝統が息づく日本として美しく描かれています。
国内外問わず評価が高く、1958年にロンドン国際映画祭でサザーランド杯を受賞しています。また2022年に英国映画協会発行「サイト・アンド・サウンド」誌で発表された「世界の映画監督が選ぶベスト映画」で第4位に選ばれるなど、今なおその魅力は色褪せません。
このスポットツアーで「東京物語」のシーンを求めて、ロケ地・尾道を巡ってみてはいかがでしょうか。
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おのみち映画資料館

広島県尾道市

おのみち映画資料館のイメージ

おのみち映画資料館は、「映画のまち 尾道」の個性をさらに発信していくため、2000年4月22日に開館しました。
建物は明治時代に軒を連ねた蔵のうち、現存するものを改修しています。その外観はまさに港町・尾道を物語るものです。
1階には小津安二郎監督や「東京物語」に関わる資料を常設展示しています。そのほかにも尾道で行われたロケのスチール写真や1950~1970年代の映画ポスター、撮影機材の展示など、尾道ゆかりの資料を中心に展示しています。また館内のミニシアターでは、「東京物語」関連の映像や予告編を鑑賞することもできます。

中央桟橋

広島県尾道市

中央桟橋	のイメージ

尾道商工会議所の南に浮かぶ中央桟橋は、かつては瀬戸内の各港を結ぶ汽船の寄港地として賑わっていました。特徴的なアーチ型屋根のむこうに、穏やかな尾道水道と向島を望むことができます。
現在はヨットやクルーザーなどを係留するためのマリーナ「尾道中央ビジター桟橋」が設置され、海の玄関口として、尾道を訪れる旅人を変わらず迎え続けています。(中央桟橋への立ち入りはできません。)

住吉神社の石灯籠

広島県尾道市

住吉神社の石灯籠のイメージ

1740年に尾道市の町奉行となった平山角左衛門は、翌年の1741年に住吉浜を築造し、尾道発展の基礎を築きました。その際に浄土寺境内にあった住吉神社を住吉浜に移し、港の守護神としたことがこの神社の始まりです。

「東京物語」は今から70年前、7月初旬朝の尾道の風景から始まります。
この最初のシーンでは、ポンポン蒸気船の音が聞こえるなか、住吉神社の石灯籠の向こうに尾道水道と対岸の向島が見えます。夫・周吉(笠智衆)と妻・とみ(東山千栄子)の暮らす尾道を印象付けるカットです。
またこの場所は、とみが亡くなったことが分かる直前のシーンでもう一度映し出されます。

竹村家

広島県尾道市

竹村家のイメージ

竹村家は大正9年に建てられた木造の旅館です。南側は尾道水道に面しているという特徴的な立地のため、客室の窓のすぐ外が海に続いています。重厚な外観は地域のランドマーク的存在で、2004年には登録有形文化財となっているほか、日本遺産「尾道水道が紡いだ中世からの箱庭的都市」の構成文化財でもあります。

「東京物語」作中で妻・とみ(東山千栄子)の葬儀後に会食するシーンの前後に挟まれる、尾道水道を挟んで向島を臨むカットは、当時の竹村家の2階の周り廊下から撮影されたものです。
会食シーン自体はセットで撮影されているため実際の竹村家ではありませんが、夫・周吉(笠智衆)が東京で知人と酒を飲みながら尾道の思い出話をするシーンで「ああ、竹村家でか」という台詞が登場しています。

浄土寺

広島県尾道市

浄土寺のイメージ

浄土寺は616年に聖徳太子によって開かれたと伝えられる、真言宗泉涌寺派の大本山です。
本堂と多宝塔は国宝、国指定重要文化財も阿弥陀堂や山門など複数有しています。また境内一帯も国指定文化財となっている、まさに尾道を代表する寺院のひとつです。

浄土寺では、妻・とみ(東山千栄子)の死後、紀子(原節子)が夫・周吉(笠智衆)を探しに来るシーンが撮影されました。
「東京物語」のなかでも屈指の名場面と言えるこのシーンでは、紀子から三男・敬三(大坂志郎)が到着したことを聞いた周吉の、呟くような「ああ、きれいな夜明けだった……今日も暑うなるぞ。」という台詞が心に残ります。
周吉の傍に見える印象的な2基の石灯籠は、オリジナルポスターにも描かれています。この石灯籠は撮影時は今の鐘撞堂のあたりに建っていましたが、現在は鐘撞堂の西にある建物の前へ移動しています。

福善寺

広島県尾道市

福善寺のイメージ

福善寺は1573年に開かれたという浄土真宗の寺院です。墓地には南北朝時代ごろに建造された二基の石造五輪塔があり、1961年に市重要文化財に指定されているほか、山門に施された龍の彫刻で有名です。