有楽町から新橋周辺で使用されている石材について地球科学的な視点から解説を行います。
東京には日本のみならず世界中から集められた石材が使用されており、街を歩きながら地球の歴史を学ぶことができます。スタンプラリー形式で楽しく地球の歴史を巡りましょう!
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東京国際フォーラムの斑レイ岩
東京都千代田区
【場所】
東京国際フォーラムの外構
(外構の地面の石材として使用されている)
【石材名】
キャンブリアンブラック(カナダ産)
(写真上部の黒い石材)
【岩石名】
斑レイ岩
【斑レイ岩とは】
火成岩のうち深成岩に分類される岩石で、「等粒状組織」を呈する。
一般的には、斜長石、かんらん石、斜方輝石、単斜輝石、角閃石で構成されている。
【観察できる特徴】
長い年月をかけてしっかりと成長した粗粒な斜長石の結晶。
写真下部の白い岩石は「インパラ」という石材。
【地質時代・年代】
11~12億年前
【文献】
西本昌司(2020)東京「街角」地質学 イーストプレス
高橋正樹 石渡明(2012)フィールドジオロジー8 火成作用 共立出版株式会社
白尾元理 清川昌一(2012)地球全史 写真が語る46億年の奇跡 岩波書店
国際ビルの結晶質石灰岩
東京都千代田区
【場所】
国際ビルの柱
【石材名】
ノルウェジャンローズ
【岩石名】
礫岩
【観察できる特徴】
高温高圧環境下において、塑性変形(ぐにゃっと柔らかい変形)した石灰岩や苦灰岩。石灰岩はマンガンを含んでおりピンク色になっている。苦灰岩はマグネシウムを多く含んでおり、白色を呈している。
ピンクや白色の岩石が縦に伸びており、高温高圧にされされていたことがわかる。
【地質時代・年代】
カンブリア紀(5.2億年前)
【文献】
西本昌司(2020)東京「街角」地質学 イーストプレス
ゴジラスクエアの片麻岩
東京都千代田区
【場所】
日比谷ゴジラスクエアの土台
【石材名】
サモア(ブラジル産)
【岩石名】
片麻岩
【片麻岩とは】
高温にさらされることにより「同質濃集作用」が発生し、片麻状構造が発達した岩石のことを指す。
【観察できる特徴】
一定方向に鉱物が配列する片麻状構造(右斜め上に流れるような模様)や、ガーネット(赤い鉱物)を観察できる。
【地質時代・年代】
不明
【文献】
西本昌司(2020)東京「街角」地質学 イーストプレス
中島隆ほか(2004)フィールドジオロジー7 変成・変形作用 共立出版株式会社
NTT日比谷ビル外壁の鉄平石
東京都千代田区
【場所】
NTT日比谷ビルの外壁
【石材名】
鉄平石(長野産)
【岩石名】
複輝石安山岩
【観察できる特徴】
「板状節理」という板状に割れる性質を持っているため、板状の薄い石材として使用されている。
【地質時代・年代】
第四紀(130万〜150万年前)
【文献】
西本昌司(2020)東京「街角」地質学 イーストプレス
産業技術総合研究所 地質図Navi(https://gbank.gsj.jp/geonavi)
旧新橋停車場の「安山岩」と「溶結凝灰岩」
東京都中央区
【場所】
旧新橋停車場の土台と外壁
【石材名】
写真下部:小松石(安山岩)
写真上部左:札幌軟石(溶結凝灰岩)
写真上部右:白河石(溶結凝灰岩)
【安山岩とは】
安山岩は火山活動によってできる火成岩の一種。火成岩の中でも、地表または地表付近で短時間(数時間〜数十万年)で固まって出来る火山岩に分類されるもので、短時間で冷却されるため、鉱物が十分に成長できず「斑状組織」が発達します。安山岩は黒い基質の中に、斑晶が見えるのが特徴的です。年代は14万〜20万年前と推定されています。
【溶結凝灰岩】
火砕流(高速で地表を流れる火山噴出物)が高温のまま大量に堆積し、固結した岩石のことです。白っぽい模様は軽石だったものです。
【文献】
西本昌司(2020)東京「街角」地質学 イーストプレス
西本昌司(2020)観察を楽しむ特徴がわかる岩石図鑑 ナツメ社
西本昌司(2017)街の中で見つかる「すごい石」 日本実業出版
高橋正樹 石渡明(2012)フィールドジオロジー8 火成作用 共立出版株式会社